アスベスト調査.NET::解説:トレモライト事件!

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トレモライト事件

それは今年(2008年)の1月5日の読売新聞の記事『無警戒の石綿3種検出 保育園など公共8施設で』が、ことの発端でした。

この記事を読んで思わずお正月気分がぶっとんだのは一般の人ではなく、むしろアスベスト業界、それもそこそこ知識の豊富な人達でした。
思えば、業界のうわさレベルでは半年ぐらい前から耳にすることのできたトレモライトの含有ばなし。
真偽のほどはどうだかね… ぐらいに思っていた人達がほとんどだったハズです。

なぜかといえば、全部で6種類あるアスベストのうち、(少なくとも日本で)工業製品として流通していたのは3種類=白石綿(クリソタイル)、青石綿(クロシドライト)・茶石綿(アモサイト)=だけである、というのが業界の常識だったからです。

残りの3種類(トレモライト・アンソフィライト・アクチノライト)は、鉱石の「不純物」としてまれに混入していることはあっても、それらが純粋にアスベストとして工業製品に含まれていることは無い、だからこの3種類を危険視する必要はない、と専門家達からも信じられてきたのです。

ところが読売新聞の記事によれば「トレモライトが吹き付け材から53%の高濃度で検出された」というのです。

この話が本当なら、トレモライトは純粋な形で工業生産(精製)されていたことになり、業界の常識を覆す大事件!まさにトレモライトショックです。

なぜ大事件なのか?
これが単純に業界の常識が間違っていたというだけなら大事件ではありませんよね。

その理由を説明します。

いまや世界で最も厳しい基準と言われている日本のアスベスト分析規格「JIS A 1481」は、日本のアスベスト業界の常識にのっとり、アスベストは6種類と定義しながらも、「対象は主に白石綿、茶石綿、青石綿 …」とされていました。

すなわち、今まで国の定めた基準によってまっとうに行われたアスベスト調査は、あくまでアスベスト3種だけの試験結果であり、残りの3種に関しては全くノーチェックだった、ということです。
(独自に6種の分析をしていた調査会社や自治体もありましたが、ごく一部です。)

これがどういうことを意味するかといえば…

例えば基準3種のアスベストは含有せず、その代わりにトレモライトが大量に含まれた吹き付け材などが、これまで何の対策もされず、しかも普通に解体されてきた可能性がある、ということを意味します。

そして恐ろしいことにトレモライトや他2種のアスベストは、非常に毒性の強い茶石綿や青石綿と同様の毒性があるのです。
あれほど国民を震撼させたクボタショック以来、アスベストへの対策はとても迅速に、世界に例が無いほど厳しい基準が設けられ、実行されてきたはずだったのに… 

なんということでしょう!

…しかし
済んでしまったことに言及するより

問題はこれからの対応です。

全国で47ある自治体のうち、ある面では国の機関より先を歩んでいるのが東京都ですが、今回も素晴らしく早い対応を見せました。

1月5日の読売新聞から20日後の1月25日、東京都は都有施設のアスベスト再点検を行うと発表。
都有施設におけるアスベスト再点検の実施について

また東京都は翌2月の13日に、国の関係各省及び関係団体に対し、トレモライト等の輸入・製造・使用等の実態解明や、トレモライト等を適切に分析できる体制を早急に整備するよう緊急要請を行いました。
トレモライト等のアスベストへの適切な対応について国等に緊急要請

こういうところ、さすが石原慎太郎と思わせてくれますよね。
もっとも、今回トレモライトが見つかったのは東京都内の施設だったのだから当然かもしれませんが。

だけど国も負けてはいませんでした。

都に遅れること12日後、2月6日に厚生労働省が「基安化発第206003号」を通達しました。
基安化発第206003号(PDF 112KB ダウンロードできます)

簡単に言えば「今後は6種類すべてのアスベストを分析対象とせよ」
「今まで3種のみ分析したものは残りの3種も追加分析せよ」という内容です。

これでとりあえず「分析手法」に関してだけは法的な面で整備されたことになります。

ですが2月の14日の毎日新聞などでも報道があったように、東京だけでなく各地で続々とトレモライト等の混入があった事実が明らかに!しかも吹き付け材だけではないのが驚きです。

ものごとをとても悪い方向で考えると…
アスベスト逃れに意図的にトレモライト等が輸入され、使われていた可能性も有り得るわけで、本当に怖い事実が出てくるのはこれからなのかもしれません…。

このトレモライトショック、今後全く目が離せません。

アスベスト調査ネットではもちろん、6種類全対応の分析・調査を行っています。

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